2018年11月12日、渋谷Bunkamuraにて開催された「第28回Bunkamuraドゥマゴ文学賞授賞式」にお邪魔させて頂きました。

第28回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 九螺ささら「神様の住所」授賞式_1

受賞者は処女作「神様の住所」で選出された九螺ささらさん。

第28回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 九螺ささら「神様の住所」授賞式_2

お邪魔させて頂いたのは営業2名と、ドゥマゴパリ リテレール№17のデザインを担当させて頂いたデザイナー兼SNSチームの私の3名。

ドゥマゴパリ リテレールとは…
●【制作実績】Bunkamuraドゥマゴ文学賞発行リーフレット『ドゥマゴパリ リテレール』№16

ドゥマゴパリ リテレール№17では、選考委員大竹昭子さんによる選評と、九螺ささらさんによる受賞の言葉が掲載されており、

「九螺ささらさんって、不思議な感覚をお持ちの方っぽいな。

プロフィールの写真はイラストだけど、御本人はどんな方なのかしら?」

とずっと思っていました。

第28回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 九螺ささら「神様の住所」授賞式_4

第28回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 九螺ささら「神様の住所」授賞式_3

何しろ受賞の言葉の冒頭には「35歳のときに、ほとんど家出のように一人暮らしを始めた」と書かれていたのです。

登壇された九螺さんは、文学少女がそのまま大人になられたような、控えめで理知的なお方。

「先程控室で初めてお会いしたばかり」という大竹さんの質問に、ハッキリとした口調で、的確で無駄がなく、かつユーモラスにお答えになる内容の面白さ、興味深さにMGの3名は衝撃を受けました!

今回受賞された作品「神様の住所」は、短歌と散文で構成されています。

短歌とは、五・七・五・七・七の五句体の歌体のことで、

「少し理解するのが難しい、高尚なものなのでは?」

「読んで場面を想像する、という一手間が加わるのが面倒そう」

と思われる方も多いかもしれません。

正直、私も最初はそのような気持ちで対談を拝聴していました。

しかし、九螺さんが朗読された1テーマ「ふえるワカメ」を聴き、発想や言葉選びの独自性・ユーモラスさ・視点の高さと視野の広さに

「こんな風に考えて、そしてその気持ちをこんな風に言葉で表現することが出来る人がいるんだ!」

と、目から鱗がボロボロとこぼれ落ち、脳内に宇宙が広がるような不思議な感覚に襲われました。

また、大竹さんの進行にも、

「言葉の解釈にはこんな面白さがあるんだ!」

と、さすが言葉のプロ2名の対談は面白くて深い、と再認識させて頂けました。

「海藻が乾燥わかめになるには、人間がミイラになるより一次元多く負荷がかかっている、ってどういうことだろう?」

と謎に思いながら拝聴し続けていた後、大竹さんが

「地上にいる人間よりも、水中で濡れている海藻が乾燥する方が負荷が大きい、ということですね。」

とお話され、

「ああ!そういうことなんだ!」

と納得。

「私は『星』を『ほし』と読んでいたけれど、九螺さんは朗読で『せい』と読まれていたので、そう読むことでイメージするものが変わってきますね」

という大竹さんのお言葉にも

「漢字の読み方一つで、確かにイメージが変わるし、それを共有する機会が持てないことが多いかもしれないな」

と考えました。


1時間の対談はあっという間で、書ききれないほど楽しいお話が次々と繰り広げられたため、再度映像や書き起こしで全てを読み聴きしたい気持ちでいっぱいです。

一つだけ、特に印象に残ったエピソードをご紹介します。

よく『言葉にならない』と感想を述べる方がいますが、私はそれを『敗北宣言』だと思っています。

確かに、その感動そのものを言葉にすることは難しく、出来ないかもしれない。

それでも、少しでも近付く言葉を探して、探して、見つけることができたら…

それは『人間として勝ち』だと思うんです」

この「人間として勝ち」というお言葉に大竹さんが

「著作でも感じましたが、九螺さんは人間や神を俯瞰して見ていらっしゃいますね」

と微笑んでいらっしゃいました。


対談の後の授賞式と立食パーティーでは、地下のカフェレストラン「ドゥ マゴ パリ」のお料理を頂きました。

第28回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 九螺ささら「神様の住所」授賞式_5

第28回Bunkamuraドゥマゴ文学賞 九螺ささら「神様の住所」授賞式_6

普段あまり食べる機会のないオシャレな野菜やお肉やデザートやフルーツが美味しくて、MGの女性陣3名は大喜び!

その上、「帰り道に九螺さんの著作を買って帰ろう」と思っていたら、お土産として本とお菓子とピンバッジを頂き、

「こんなに贅沢で嬉しい体験をさせて頂いて良いのですか?」

と恐縮してしまいました。


大竹さんが選評に

「慣れ親しんできた言葉が別の相貌をまとい、ふだん使っていない頭の部位がマッサージされる」

と書かれていますが、まさに頭皮も脳内もマッサージされ、頭からフワフワと湯気が出るような気持ちで帰路につきました。

感情を端的に的確に伝えようとしてもなかなか上手く伝わらない時、お互いを「言語能力が低い」「理解力が無い」と蔑むことが、ネット上でもリアルでも多いなと日々感じています。

SNSが普及するようになり、よりその傾向が強まったのかな、と思っていました。

しかし「SNSが流行っている今だからこそ短歌が合う。出すなら今だ、と編集さんから言われて、この本を出しました」

という九螺さんのお言葉を聴き、

「なるほど、だからこそ限られた言葉を調理した短歌が面白いんだ!」

と、対談のお蔭でより一層この作品の素晴らしさを気付かせて頂けました。


受賞者の九螺ささらさん、選考委員の大竹昭子さん、このような場を設け、素敵なパーティーを開催して下さったBunkamura様、どうもありがとうございました!
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